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腎疾患と尿蛋白と減塩

腎疾患と尿蛋白と減塩 (2013年07月27日 土 16:55)|病気|

減塩は尿蛋白あるいはアルブミン尿を減少させるという複数の報告があります。減塩による尿蛋白/アルブミン尿の改善効果は降圧を伴うことも報告されています。食塩の過剰摂取は腎糸球体の過剰な濾過を惹起することが高血圧患者のみならず正常人にも示されており、減塩は過剰な濾過を改善することによって尿蛋白/アルブミン尿を抑制しているという機序が考えられます。

一方、ACE阻害薬治療中の非糖尿病性慢性腎臓病患者を対象にした観察研究では、食塩摂取量の増加に伴い尿蛋白/クレアチニン(P/C比)が増加し、かつ、末期腎臓病の発症が増加することが報告されています。私の外来でも、「薄味でね!」と声かえをするようにしています。

減塩に関する世界の動きでは、2003年に発表された世界保健機関/食糧農業機関(WHO/FAO)の食事、栄養と慢性疾患のレポートでは、血圧低下のためには食塩摂取量を5g未満にすべきとしています。2007年の欧州高血圧学会-欧州心臓病学会(ESH-ESC)は、食塩3.8g/日が理想とし、現実的な目標値として食塩5g/日未満を設定しています。日本人の食塩摂取量は国際的にみると高く、治療目標値も高めの設定となります。

高血圧治療は、日常の食生活の中でまず塩分摂取量を5g/日未満を目標とする指導が基本ですが、実際にはいきなりは実現不可能ですので、10g未満を最初の目標としてはどうでしょうか。私も含め、ほとんどの日本人は、塩分10g/日以上の味付けに慣れています。5g未満をいきなり実践したとすれば、それはそれで素晴らしいことではありますが、相当な食事に対する我慢を強いられることでしょう。つまり、“塩気のない食事”は美味しくないのです。

最近の猛暑のため報道でも、塩分含有の飲料水を勧めています。しかし、高血圧をはじめ生活習慣病患者さんすべてに当てはまるわけではありません。



 
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